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1 学びの多様化学校(不登校特例校)を核とした伊久美小学校跡地の活用
私は、今年の6月定例会において不登校問題の取組について一般質問を行った。2022年度の国の不登校調査結果では、小・中学校で30日以上欠席した児童生徒の数が約30万人となり、10年連続過去最多を更新していることが報告されている。当市も同様な状況で昨年度の不登校児童生徒数は、小学生91人(1.4%)、中学生164人(5.7%)で合計255人、この10年間で約3.4倍に増加している。
不登校の原因については、多岐にわたり、また、複合化することもあり特定することは困難な場合が多いと言われている。当市の今までの不登校対策では、早期対応として家庭訪問、復帰支援としてスクールソーシャルワーカーによる相談支援、指導として教育センターのチャレンジ教室での対応が行われてきた。さらに、最近ではチーム学校による支援や、保健室や空き教室を利用した別室での個別指導が行われている。
2016年には「教育機会確保法」が制定され、フリースクールなど学校以外での学習を認めた上で、国や自治体に対して、子どもの状況に応じた学習活動を支援するよう明記された。しかしながら、最近では国や自治体の支援体制が追いつかず、何の支援も受けていない子どもが急増しており、2022年度不登校であった児童生徒のうち学校内外でいずれの相談・支援を受けていない子どもが約11万4千人と全体の38%を占めていることが指摘された。そこで、国では2023年3月に発表したCOCOLOプランにおいて「不登校により学びにアクセスできない子どもをゼロにする」目標を掲げ、学びの多様化学校「いわゆる不登校特例校」の設置を全国に進めている。しかしながら、今年3月までにまだ全国には35校しか設置されておらず、国では2027年度までに300校の設置を目指している。
厚生教育常任委員会では、今年度の調査研究テーマとして「不登校問題」を取り上げ、7月には宮城県富谷市及び宮城県仙台市に設置された学びの多様化学校2校を行政視察した。また、私が所属する会派においても、奈良県大和郡山市に設置された小・中学校の分教室を視察した。富谷市及び仙台市ではいずれも閉校となった小学校跡地に学びの多様化学校を新たに設置していた。これらの小学校は閉校後、地元のコミュニティセンターとして利用しており、今回、学びの多様化学校を設置するにあたり、施設の半分を利用することとし、閉校した学校施設の有効活用として再出発していた。この2校は、農村地域で自然環境に恵まれ地域の方々と触れ合うことでコミュニケーションを含め教育効果が出ているとの説明を受けた。大和郡山市の学校は市街地のため公共施設の一部を利用しており、学習に力を入れていた。全国的にも、閉校した小・中学校の跡地利用として、この学びの多様化学校を設置するケースが多くみられている。
今年3月末で、北部地域の4つの小学校が閉校になったが、その跡地利活用の現状については、同僚議員が6月定例会において一般質問している。伊太小学校及び相賀小学校の跡地利活用についてはすでに決定しており、準備が進められている。一方で、神座小学校及び伊久美小学校の跡地利活用は、決まっておらず、特に伊久美小学校については、プロポーザル応募の優先交渉権者と契約に至らず白紙に戻っている。伊久美小学校は、自然環境に恵まれ、長年特認校として地区外の子どもたちを受け入れ、さらに現在もサタデーオープンスクール等により子どもたちの自然体験を地域として協力してきている。学びの多様化学校を設置するには適地ではないかと思われる。
不登校児童生徒へ「学ぶ機会をきっちり確保する」ためには、この学びの多様化学校の設置は、選択肢のうちの一つとして重要ではないかと考える。
そこで、自然環境に恵まれ、当市にとって貴重な財産である伊久美小学校の跡地の利活用として、学びの多様化学校の設置の可能性について質問する。
(1) 学びの多様化学校の目的、形態や種類、教育内容などについて伺う。
(2) 学びの多様化学校が従来から実施されてきた不登校対策との違いは何か。また、教育効果についてどのように考えるのか伺う。
(3) 現在の全国、県内での設置状況及び設置の動きについて伺う。
(4) 学びの多様化学校を設置・運営する場合における課題は何か。当市が設置するにあたり、メリットとデメリットは何か伺う。
(5) 伊久美小学校跡地利活用についての市の考え方・方針について伺う。 |
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1 不登校問題の取組について
昨年11月に国が2022年度の不登校調査結果として、小・中学校で30日以上欠席した児童生徒の数が約29万9,000人で、10年連続過去最多を更新していることを報告した。特に、この2年間では一気に10万人が増加し、35人学級の場合、1クラスに1人が不登校という計算となり、この調査結果は全国で大きな波紋を起こした。当市でも昨年12月に開催された総合教育会議において、主要テーマとして教育委員の中で議論されたところである。同会議で当市における不登校児童生徒の割合は、小学校で1.44%、中学校で5.68%とほぼ全国的な数字と一致していることが報告された。
不登校の原因は、多岐にわたり、また複合化することもあり特定することが困難な場合が多いと言われている。最近では、コロナ禍による社会変化と不登校の急増との関連性を指摘する声も聞かれる。従来、当市の不登校対策は、早期対応として家庭訪問、復帰支援としてスクールソーシャルワーカーによる相談支援、さらに教育センターのチャレンジ教室での対応が行われてきた。しかしながら、毎年増加する不登校児童生徒への対応が追いついていないのが現状ではないかと危惧される。
2016年には「教育機会確保法」が制定され、フリースクールなど学校以外での学習を認めた上で、国や自治体に対して、子どもの状況に応じた学習活動を支援するよう明記された。子どもを無理やり学校に復帰させるよりも学習が途絶えないように必要な働きかけをし「社会的な自立」を支えるという考え方が示されている。一方で、最近では国や自治体の支援体制が追いつかず、何の支援も受けていない子どもが急増しており、2022年度に不登校であった児童生徒のうち学校内外でいずれの相談・支援を受けていない子どもが約11万4,000人と全体の38%を占めていることが指摘されている。国が2023年3月に発表したCOCOLOプランでは「不登校により学びにアクセスできない子どもをゼロにする」目標を掲げている。このプランの一環として学びの多様化学校として「いわゆる不登校特例校」の設置を全国に進めている。また、県では新規事業としてメタバースを活用したバーチャルスクールの設置に取り組むとしている。当市の今年度予算においても、新規事業として「学びの多様化学校調査研究事業」を予算計上し、この学びの多様化学校について調査・研究することになっている。
そこで、当市における不登校児童生徒の現状について伺うとともに、学びの多様化を含め子どもたちの学習支援をどのように行っていくのか考え方について、以下質問する。
(1) 当市における不登校児童生徒数の現状とこの10年間の推移を伺うとともに、増加している原因をどのように捉えているのか併せて伺う。
(2) 当市における不登校に対する対策を現在どのように行っているのか伺う。
(3) 不登校対策において抱える課題についてどのように捉えているのか伺う。
(4) 民間で行われているフリースクールや最近注目されているバーチャルスクールの現状と役割、さらに課題について伺う。
(5) 学びの多様化学校についてどのように考えているのか伺う。
2 行政改革と行政評価の取組について
少子高齢化と人口減少が急速に進む中、当市の財政は今後ますます逼迫してくることが予想される。特に、団塊ジュニア世代が後期高齢者を迎える2040年以降は人口減少とともに、現役世代の急減により社会構造にも大きな変化が出現すると言われている。このような中、当市の財政も大きな危機に遭遇することが懸念される。生産年齢人口の減少により税収が大きく減少する一方、民生費が現行の約1.6倍に増加し、歳出割合が50%以上を占めるとともに、人件費の増加や公共施設の維持管理費の財源不足が予測される。現在、当市の財政は、健全性を維持しているが、今後の維持に不安を感じるところである。
国は平成17年に、将来の地方自治体の健全な経営を目指し「新地方行革指針」を策定し地方自治体に行政改革を要請した。これに対して当市では行政改革大綱と併せて集中改革プランを策定し行政改革を推進してきた。さらに、平成27年には島田市行政経営戦略を、平成30年には第2次島田市行政経営戦略及び同行動計画を策定し、その方針に基づき行政改革が行われてきた。国の「新地方行革指針」では、民間委託、指定管理者制度の活用、公営企業・公社の経営健全化とともに、行政評価の効果的かつ積極的な活用を具体的な取組として地方自治体に示してきた。
この間、当市では公共施設管理や窓口事務の民間委託、指定管理者制度の導入などが積極的に行われてきた。しかしながら、合併後の公共施設の維持管理や修繕等の費用が増大する中、長寿命化を進めるなど縮減に努めているが、今後財源が大幅に不足することが懸念されている。このような状況下、市長は令和3年度施政方針の中で、「縮充」を提唱し、「選択と集中」に基づいて予算の効率的執行に努めることを明言している。一方、行政評価制度については、すでに全国の90%以上の市が導入し、当市では昨年度初めて試行として行政評価シートが重点事業に対して作成され、議会では決算審査の参考資料として使用したところである。しかしながら、この行政評価制度の今後の取扱いについては明言されていない。
そこで、当市の現在の行政改革の取組状況及び今後の方向性、さらに試行的に取り組まれた行政評価シートの今後の在り方について伺う。
(1) この10年間における当市の行政改革の取組状況とその成果について伺う。
(2) 当市における現在の行政改革に対する取組状況を伺う。
(3) 「縮充」を含め、今後の適正な財源確保と予算執行のためにどのような取組を行っていくのか伺う。
(4) 行政評価制度についての考え方及び今後の取組方針を伺う。 |
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1 地域共生社会の実現と新たな地域づくりについて
私たちの会派では、今年度、社会保障・社会福祉に関する課題について調査研究を行ってきた。今回、会派を代表して、当市の社会福祉の課題のうち、私たちの会派が特に注目し重点的に取り組んできた地域共生社会を実現するための「重層的支援体制整備事業(以下「重層事業」と略す。)」、並びにそのために求められる新たな地域づくりの取組について質問する。
我が国の社会福祉制度は、主に日本型福祉社会論に基づき金銭やサービス等の給付による国民生活の安定や貧富格差の縮小などを目的とするものである。しかしながら、1990年代以降家族形態や雇用システムの変化などにより、従来からの日本型社会保障制度の維持が難しくなってきた。現在、国の社会保障費の総額は既に120兆円を超え、一般会計の支出額は40兆円、歳出全体の33%を占めており、今後、ますます増大することが予想される。そのため、健康保険、年金、介護保険の各制度においては、法改正により財源確保に努めているが、現役世代への負担の高まりに世代間の不公平感が強まっている。市町村においても同様に民生費として計上される社会保障費の一般会計に占める比率は年々増加している。今後、2040年に向けて、人口減少や高齢化が進み、市の税収が増えない中、この民生費はますます増加し、市の財政を圧迫することが懸念されている。これからの市財政において、民生費の増加に対してどのように対応していくのか、今からでも検討しておく必要があると考える。
我が国の社会保障は、保険方式による健康保険、年金、介護保険と、税方式による障害者福祉、子育て支援、公的扶養の分野に分けられ、各制度に基づき行われてきた。一方で、高齢者や障害者等の誰もが問題を抱えながらも住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、行政、住民、関係団体が助け合い、支えながら問題を解決する取組が市町村ごとに、「地域福祉」として行われてきた。しかしながら、急速な高齢化や人口減少、さらに核家族化や個人主義などを背景に、ひきこもり、生活困窮者、社会的孤立者など、複雑化・複合化した従来の縦割りの公的支援では解決が難しい社会問題が地域福祉の中で増加してきている。そのため、従来にはなかった新しい制度が必要とされ、国では「地域共生社会」の実現を基本方針として今後の社会福祉の改革を進めることとし、令和3年には社会福祉法の改正を行い、新たに重層事業が創設され、全国の多くの市町村において取組が行われ始めている。当会派では、この半年間先進地での調査研究を行い、11月定例会において当会派の同僚議員が当該事業への今後の取組について質問を行った。今回、市長の施政方針において、この重層事業に向けて、来年度の準備事業の予算化、そしてまず相談窓口の包括化から段階的に取り組むとの意向が示された。
現在、国が進める「地域共生社会」とは、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手・受け手」という関係を超えて、地域住民などが「我が事」として参画し、人と人とが世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人一人が生きがいを地域とともに創っていく社会と定義されている。重層事業では、この地域共生社会を実現するため、3つの支援、「相談支援」、「参加支援」、「地域づくり支援」を一体的に行うとしている。このうち、「地域づくり」は当該事業を円滑に推進する上では重要な施策とされている。特に、コロナ禍以降、人と人とのつながりが希薄化している現在「地域共生社会」の実現にとって地域の再構築は必須事項であると思われる。私は、昨年の6月定例会で「地域運営組織」の取組状況について一般質問を行ったが、ワークショップ等を通じて市職員や市民の意識の醸成を図っていきたいとの答弁であった。しかしながら、地域で加速的に起こっている脆弱化や人とのつながりの希薄化、地域での担い手不足、高齢化などの対応には意識の醸成を待っているのでは遅すぎると危機感を抱いている。地域の再構築は福祉だけに限らず、防災や地域経済、さらに地域公共交通の今後の在り方にとっても大きな課題となっている。
そこで、今後の当市における社会福祉の在り方、そして来年度以降取り組む予定である重層事業に関すること、さらに、今後の地域共生社会の実現にとって重要と考えられる地域づくりの再構築について次のとおり質問する。
(1) 平成の大合併以降の当市における民生費の推移と今後2040年までに一般会計に占める割合がどのように推移していくと予想しているのか。また、その財源確保についてどのように取り組んでいくのか併せて伺う。
(2) 高齢者、障害者、ひきこもり等の問題に対して地域福祉として、市では今までどのように取り組んできたのか、また、今抱える課題をどのように捉えているのか伺う。
(3) 市長の施政方針において、来年度に向けて重層事業を段階的に取り組むことが示されたが、具体的にどのように取り組んでいくのか、特に予算面及び組織面からの取組について伺う。
(4) 重層事業において地域づくりは重要なウエイトを占めていると考える。当該事業を実施している多くの市町村では、既に新しい地域運営組織に取り組み、地域づくりの基礎としている。当市において地域運営組織について取り組む考えがあるのか伺う。
(5) 市長が描くこれからの地域共生社会とはどのようなものか伺う。 |
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- 令和5年11月定例会
- 12月4日
- 本会議 一般質問
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1.子どもの貧困対策の取組について
近年、子どもの貧困問題がマスコミ等により大きく取り上げられている。今、取り上げられる貧困とは、絶対的貧困ではなく相対的貧困で、貧困ライン(国民の可処分所得の中央値の50%)に満たない生活を強いられる状態を呼んでいる。この子どもの貧困が、最近の社会問題となっている子どもの孤立・孤独、不登校、ヤングケアラー、犯罪、虐待などの起因になっていることが指摘されている。しかしながら、相対的貧困世帯は生活困窮をしながらも社会的には表面化しないため、一般市民生活の中では目立たなく、注目されて来なかった。
我が国における子どもの貧困率は、2012年時点で16.3%(6人に1人)で年々増加傾向にあった。これはOEDC加盟34か国中下から10番目と平均を高く上回っている。本県の貧困率は10.8%であり国平均よりも低いが、決して良好と思われない。子どもの貧困は世代を超えて連鎖することが問題で、経済的にも社会的損失が大きいことが心配されている。国では、2013年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を制定し、翌年「子どもの貧困対策に関する大綱」に基づきソーシャルワーカーの設置や児童扶養手当の増額などの対策を行ってきた。当市でも平成31年3月に「子どもの貧困対策推進計画」(2019年度~2024年度)を策定し対策に取り組んできた。しかしながら、この間、新型コロナウイルス感染症の流行、さらにロシアのウクライナ侵攻等により経済状況はいっそう厳しい状況に置かれたことから、この貧困問題はますます深刻化していることが懸念されている。
そこで、推進計画の途中ではあるが、現在の当市の子どもの貧困問題について、以下質問する。
(1) 当市における子どもの貧困状況をどのように捉えているのか伺う。
(2) 「島田市子どもの貧困対策推進計画」の進捗状況及び現時点での事業実績をどのように評価するのか伺う。
(3) 子どもの貧困に起因する社会的問題をどのように捉えているのか伺う。
(4) 今後の対策についてどのように取り組んでいくのか伺う。
2.インクルーシブ教育の取組について
インクルーシブ教育は、障がいのある者と障がいのない者とが共に学ぶ仕組みで、共に学ぶことを通して共生社会の実現に貢献することを目指している。2016年、国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」に示され、我が国でも批准に向けて、「障害者基本法」の改正を行うなど、当該制度に取り組むこととした。
一方で、我が国では既に2007年に「学校教育法」の改正を行い、障がい者に対する教育を「特殊教育」から「特別支援教育」に変更し、全ての幼稚園・学校において障がいのある子どもの支援の充実を図ることとした。現在、障がいのある児童・生徒については、障がいの内容や程度、意向などにより、通常の学級に在籍しながら特別な指導を受ける通級指導教室、通常の学校に設置された特別支援学級、さらに特別に設置された特別支援学校に在籍することになっている。
最近、発達障害の子どもの就学や教育支援が大きな問題となっている。発達障害は、大きく学習障害、注意欠如・多動症、自閉スペクトラム症に分類されているが、その重複化や程度に差がみられ障害のない子どもとの区別が難しいことが指摘されている。昨年度の国の調査によると、発達障害をもつ児童・生徒数は、8.8%と12人に1人の割合となり、10年前の調査に比べて2.3ポイント増加していると報告されている。この増加の原因として、障がいへの理解が深まったことが挙げられているが、原因については究明されていない。今後、さらに発達障害をもつ児童・生徒が増加することが懸念される中、あらゆる差別がなく、障がい者等が積極的に参加・貢献できる「共生社会」を構築していくためにも、インクルーシブ教育の取組は欠かせないものと思われる。
全国的にも既にインクルーシブ教育に取り組み始めている地域もある。国では特別支援学校と通常の学校を一体化するモデル事業の来年度予算化を目指している。しかしながら、当市の総合計画や教育方針において、インクルーシブ教育についての取組が取り上げられていない。
そこで、当市における特別支援教育の取組とインクルーシブ教育に対する考えについて、以下質問する。
(1) 当市における特別支援学級在籍児童生徒数及び特別支援学級数の状況について伺う。
(2) 当市では、どのような就学支援を行っているのか伺う。
(3) 特別支援教育とインクルーシブ教育に違いがあるのか。それぞれのメリットと課題について伺う。
(4) 当市におけるインクルーシブ教育について、今後どのように取り組む考えがあるのか伺う。 |
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1.森林整備と森林J-クレジット制度の取組について
市の面積の約70%を森林が占める当市にとっては、森林整備や森林保全は重要な政策課題である。特に、森林整備は林業振興だけでなく、最近頻発する降雨による山地災害の防止や環境保全の面からも大変重要な課題である。そのため、補助事業に加えて、森林環境譲与税を活用した間伐や植林などの事業が進められている。しかしながら、林業従事者の減少及び森林所有者の高齢化や所有意識の低下など、森林を整備していく上での課題がますます複雑化してきている。このように森林が抱える課題が増す一方で、地球温暖化対策などに対して、森林の保有する機能に期待が高まっている。
機能の一つ目は、森林のCO2の吸収である。政府は、地球温暖化の原因とされるCO2等の排出量を2030年までに46%減、2050年に排出ゼロを目指すとした。当市でも、2021年3月に、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティ」を目指す取組を宣言した。そのため、各分野で再生可能エネルギーや省エネルギーによりCO2排出量を削減するとともに、森林などによるCO2吸収を促進することが求められている。特に、森林のCO2吸収量は、平均で1ヘクタール当たり5トンと高く、約25%のオフセットが可能と言われている。国は、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「J-クレジット」として国が認証し売買する制度を構築し、CO2等の削減を推進している。
機能の二つ目は燃料資源である。現在、間伐材等を原料とする木質ペレットは、化石燃料に代わるエネルギー資源として注目され需要が伸びている。森林整備で発生する間伐材は、利用価値が低いことからほとんどが現場に放置され、山地災害の原因となることが懸念されている。そのため、間伐材を排出し木質ペレット等に有効活用することは、化石燃料の抑制だけでなく、災害予防にもつながってくると考える。
森林J-クレジット制度並びに間伐材の木質ペレット化は、当市の今後の森林整備及び中山間地域の活性化にとって有益な制度・手法ではないかと考える。そこで、森林整備状況を含めこの2点について以下のとおり質問する。
(1) 当市における現在までの森林整備状況について伺う。
(2) 森林環境譲与税を活用した森林整備の執行状況及び今後について伺う。
(3) 市として森林J-クレジット制度をどのように捉えているのか。
(4) 今後、森林J-クレジット制度に対して、どのように取り組むのか伺う。また、市として支援策についての考えを併せて伺う。
(5) 木質ペレットの原料となる間伐材の搬出についての支援を伺う。
2.茶業の現状と今後について
県内の茶価は、平成7年度頃をピークに右肩下がりを続け、今年の一番茶価は、平均で1キログラム当たり約2,000円とピーク時の半値となっている。今年度の価格は前年度並みであったものの、荒茶生産量は前年度比15%減少となり、肥料や燃料等の生産資材の高騰が続く中、茶業農家の経営をより一層圧迫している。
このような状況下、高齢化を含め経営難を理由に多くの茶業農家が廃業するとともに、共同茶工場も閉鎖を強いられている。特に、小規模茶園の放棄地化が目立ち、中山間地で顕著である。当市では、シティプロモーション事業「島田市緑茶化計画」を進めるなど、消費拡大や緑茶による地域活性化を目指しているが、その事業効果が茶業の振興に直接結びついていないのではないかと思われる。
最近の消費者の嗜好の多様化により、リーフ茶の消費減退が進む中、国産紅茶などの発酵茶やお茶を使用した新商品が注目されるなど、消費者の多様化に応じて、様々なお茶に関する商品開発が行われている。製茶工場から出る匂いを香料として商品開発し、世界に向けて販売している事例も見られる。特に、抹茶については輸出量が大きく伸び、市内企業でもオーガニック抹茶を生産し輸出実績を上げている。さらに、最近では県茶業研究センターで紅茶やウーロン茶等の発酵茶の製造研究施設を整備するとともに、フレーバーティー等嗜好の変化に対応した研究に取り組んでいる。
また、生産段階では生産効率を図るため、大型機械化がより一層進むとともに、茶園の集約化が行われている。特に、市内西原地区で約5ヘクタールの茶園が主に3戸の若手担い手に集約され優良事例として表彰されるなど、明るい将来像も現れてきている。
そこで、当市における茶業の現状と今後の見通しについて、以下のとおり質問する。
(1) 当市における茶業生産の現状をどのように捉えているのか伺う。
(2) 市内の企業がお茶に関する新しい商品を開発し、販売していることについて把握しているのか。また、支援している事例があるか伺う。
(3) 今後の茶園の集積や土地改良事業について、どのように取り組んでいくか伺う。
(4) 今後、市として茶産業に対してどのような支援を行っていくか伺う。 |
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1.新しい自治組織としての「地域運営組織」の取組について
自治会や町内会の自治会組織(自治会)は、地域防災を含め地域住民のコミュニケーションや行政とのつながりなどの重要な役割を長年果たしてきた。しかしながら、近年の少子高齢化や人口減少、さらに核家族化等のライフスタイルの変化などにより、従来の運営方法では多くの課題を抱え、円滑な運営が難しくなってきている。
このような状況の下、現在の地域が抱える課題を解決するため、既存の自治会を核に、地域で活動する福祉協議会やPTA等の様々な団体が参加した新たな組織である「地域運営組織、Region Management Organization(RMO)」が、既に全国802市区町村に5,783団体が設立されている。これらの組織の多くが、条例や総合計画等で公的に位置付けられ、財政支援(一括交付金)も行われている。都市部では、自治会を中心に地域で活動する各種団体等が連携した協議会が、地域自治組織として設置されている。一方、中山間地域や過疎地域では、農用地等の保全や活用とともに地域の暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成するコミュニティ組織「農村RMO」が設立され、農山村地域の生活機能を支援する取組が見られる。国においても、地方創生総合戦略や食料・農村基本計画の中で、これら組織の設立について推進を呼びかけている。
そこで、当市における、現在の自治会等が抱える課題及び全国的に普及が進んでいる地域運営組織の取組状況に関する以下の項目について質問する。
(1) 当市における自治会の総数及び加入世帯数が最小と最大の世帯数はどの程度であるか伺う。また、平成の合併時における自治会等の編成に変更があったのか伺う。
(2) 市では自治会が抱えている課題について、どのように捉えているのか伺う。
(3) 自治会の課題に対して、市ではどのように取り組んできたのか伺う。
(4) 当市において「地域運営組織」の考え方に基づき設立され、運営を既に行っている組織・団体があるか伺う。また、当市として「地域運営組織」の設立についてどのように考え、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
(5) 中山間地域における活性化の施策として、地域運営組織(農村RMO)の設立と活動を支援している自治体があるが、当市としてどのように考えるか伺う。
2.介護施設における介護人材の確保について
少子高齢化社会が進む中、2025年にはいわゆる団塊世代が全て75歳以上の後期高齢者となるため、医療・介護需要が飛躍的に増加してくると言われている。特に、介護の分野では対象となる高齢者が急激に増加する一方で、これを支える介護職員が大幅に不足することが懸念されている。国の試算では、2025年には全国で約32万人の介護職員が不足すると推計されている。介護の現場では厳しい労働条件でありながら賃金が低いことが指摘され、国では2019年以降介護職員の賃金アップを行ってきたが、その成果が十分に現れていないのではと指摘されている。介護職員の不足は、介護保険事業の円滑な運営に支障を来たし、特に介護施設の受け入れに直接影響することが懸念される。
そこで、当市の介護施設における介護人材の確保状況及び今後の確保に向けた取組について以下の項目について質問する。
(1) 現在、当市の介護施設において、通所事業及び入所事業の受入れ状況はどのようになっているのか。また、介護職員不足により受入れを控えていることはないか併せて伺う。
(2) 当市における介護人材の確保状況はどのようになっているか。また、市では介護人材確保のため、どのような対策を行っているのか伺う。
(3) 介護職員が大幅に不足する中、各介護施設では業務の効率化を含め、どのような対策を講じているのか。また、市としてどのような支援を行っているのか伺う。
(4) 令和5年度に策定する第9期島田市介護保険事業計画において、介護人材確保のためどのような取組を考えているのか伺う。 |
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1.市財政の現状と今後について
今年度から、第2次島田市総合計画後期基本計画に基づくまちづくりが進められている。当計画では、縮充を柱として真に必要な施策、事業に資源を集中させ、量から質への転換を図り市民の満足度を目指すとしている。市政を進める上で、財政の健全化は必須な条件であると思われる。令和5年度予算の大綱の中でも、中長期的視点から財政の健全化に努めると述べられている。基礎自治体として、住民福祉、義務教育、基礎インフラが重要な施策であり、借入金の少ない健全な財政運営が求められている一方、健全化により生み出される果実を還元することも重要と考える。
ここ数年の新型コロナウイルス感染症対策として、国は地方に財政措置を行ってきた。しかしながら、本病の収束あるいは沈静化に伴い財政措置は廃止されることが予想され、従来の財源に戻る中、より一層の財源確保と歳出削減が求められる。
市では、令和4年9月に島田市中期財政計画を公表し、今後の計画的な行財政運営を示している。また、新地方公会計の導入により、平成28年度決算から固定資産台帳に基づく財務書類を作成している。
そこで、財政指標に基づいた当市の財政状況及び今後の見通しについて質問する。
(1) 令和3年度の財政力指数は0.69で、前年度に比較し0.05ポイント低下しているが、令和4年度の財政力指数はどの程度を見込んでいるか伺う。
(2) 財政の健全性を示す4つの指標がある。このうちの実質公債費比率は、令和3年度が6.2%で前年度と比較して0.6ポイント減少する一方、将来負担比率は、1.9%と算出された。いずれも健全とされる基準値内であると理解するが、財政の健全性を考える上でこれらをどのように捉えているか伺う。
(3) 令和3年度一般会計の市債残高は、417億円となっている。令和5年度末の市債残高は、445億円と増加の見込みであり、これは令和5年度一般会計の当初予算額とほぼ同じ規模となる。この状況について、どのように捉えているか伺う。
(4) 令和3年度末の一般会計の基金残高は135億円となっている。令和5年度末の見込みでは93億円と42億円の減少を見込んでいるが、この減少の内容について伺う。また、令和5年度の財政調整基金の見込みが、令和3年度の概ね半分の27億円に減少しているが、これをどのように捉えているか伺う。
(5) 歳出における民生費は、今後の人口減少と高齢化に伴い、さらに増加してくると思われるが、見通し及びその対応について伺う。
(6) 今般の定年の延長や民間の賃金アップに伴い、人件費の増加が歳出の課題になると思われる。今後の見通しと対応について伺う。
2.公共施設管理の現状と今後の対応について
当市を含めた地方自治体の公共施設の多くが、昭和40年代の高度成長期以降に整備されたものが多く、既に耐用年数が過ぎ更新時期を迎えている。耐震性に問題のある施設は順次更新、あるいは廃止されているが、今後、修繕、更新等に係る経費は自治体の財政を圧迫することが懸念されている。当市では、平成26年度から公共施設マネジメントの取組を本格的に開始し、平成28年3月に島田市公共施設等総合管理計画を策定し、昨年10月に改訂を行っている。同計画において、今後40年間に見込まれる公共施設等の修繕、更新に要する費用を平均60.4億円と試算している。一方、直近5年間の公共施設の修繕、更新に充てられた財源は39.0億円で、今後毎年60.4億円を必要とすると、21.4億円(35%)の財源が不足すると説明している。その対策として、公共施設等の長寿命化等を施したとした場合の試算でも、修繕、更新費用が約54.0億円に減少するものの、それでも15.0億円(約28%)が不足すると試算している。そのため、昨年改正した島田市公共施設等総合管理計画では、3つの基本方針、保有量の適正化、品質の適正化、管理費の適正化を示している。
そこで、これら方針に基づき、どのように公共施設の適正な維持管理を進めていくか、以下質問する。
(1) 品質の適正化では施設の長寿命化を進めることにより、施設の修繕、更新の費用を縮小する方針を掲げているが、具体的にはどのように対応するか伺う。また、一昨年度から施設の包括管理業務委託を行っているが、その効果及び課題について伺う。
(2) 保有量の適正化では、延床面積の削減が重要になるが、どのような方針、基準の下で推進するか伺う。
(3) 管理費については、適正化をどのように図っていくか。
(4) 上水道は市民に最も関係の深い公共施設であるが、配水管等の更新時期が過ぎている。今後の修繕、更新の方針を伺う。
(5) 公共施設の維持、存続を判断する上で、縮充の考え方をどのように取り入れていくか伺う。 |
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- 令和4年11月定例会
- 12月5日
- 本会議 一般質問
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1.小学校跡地を利用した埋蔵文化財センターの設置について
令和6年度から北部の4つの小学校と島田第一小学校が統合するに伴い、閉校となる小学校の今後の跡地利用が課題になっている。このうち相賀小学校については、博物館課が執務室や現在各場所で保管している出土品等を保管する場所として利活用することが進められている。土地開発工事などで出土した土器等の埋蔵文化財は大切に保管することが義務付けられているため、出土した土器などが増加する一方で、保管場所の不足や管理業務の負担などが問題となっている。当市でも、市内の古墳などから出土した埋蔵文化財を市内各所のプレハブ倉庫に保管しているが、倉庫の狭さや老朽化が緊急の課題となっている。
出土品等の埋蔵文化財は、その土地の歴史を知る上で重要な資料となることから、文化財保護法において、大切に保護することが規定されている。そのため、当市でも出土品等については法律に基づき、調査、保管を主体に行われてきた。しかしながら、出土品等は貴重な文化財でもあることから子供や市民にその存在を広め、当市の歴史に関心を持ってもらうことは重要なことと考える。周辺の磐田市、掛川市、菊川市では埋蔵文化財センターを設置し、出土品等を保管するだけではなく、展示し市民に広く公開している。
そこで、当市の埋蔵文化財保護の現状と令和6年3月末で閉校となる相賀小学校跡地を利用した埋蔵文化財センターの設置に関して、以下質問する。
(1)当市が行っている埋蔵文化財保護に関する事業や活動について伺う。
(2)現在の出土品等埋蔵文化財の保管状況について伺う。
(3)相賀小学校の跡地を博物館課がどのように利活用する計画があるか伺う。
(4)今後、市として埋蔵文化財センターを設置する意向があるか伺う。
(5)相賀小学校を利活用した今後の埋蔵文化財の保護に関して、どのように取り組んでいくか伺う。
2.山間部の災害に強い農林業用施設の整備について
今回の台風15号の影響により発生した水害は、人的被害はなかったものの、住宅被害や道路被害など生活に直結する大きな被害を当市にもたらした。山林を多く抱える北部地域では、県道の崩壊、山地の崩れ、河川の越水、土砂流入などの被害が発生した。土石流などの大きな被害はなかったものの、沢や谷からの土砂流出の被害が各地で発生し、また、倒木や間伐の流木による河川の堰き止めも河川からの越水の原因にもなっていた。
当市では、従来から山地災害を防止するための谷止工等が整備されてきたが、当然ながらいまだ未整備の沢や谷も多くみられる。今回の水害に対してこれら谷止工等がどの程度の効果を発揮したのか、未整備場所での被害がどの程度であったか気にかかるところである。相賀地区で被害状況を確認したところ、谷止工等が整備されていたところでは、土砂流出の被害はほとんど見られなかったが、未整備場所では沢や谷などからの土砂流出が発生していた。
一方、道路関係では県道220号蔵田島田線が2か所で崩落を起こし、一時的に伊久美地区の一部で孤立を招いた。しかしながら、相賀地区と伊久美小川地区を結ぶ林道相賀小川線ほか周辺道路が整備されていたため、応急処置により緊急車両を含む一般車両の通行が早期に可能となり、一部を除く伊久美地区住民の生活に大きな支障を与えることはなかった。今回、緊急時における農林道の必要性を痛感した。
林道や農道は本来、農林業振興のため整備される道路であるが、山林が約7割を占める当市では、万が一の災害時には農林道の活用が必要になってくるのではないかと考える。今回、林道相賀小川線においては、地域住民や農林業者などが日頃より整備を行っていたため、迅速な活用が可能になったと思われる。農林道の多面的な機能について改めて考えさせられるとともに、日頃の農林道を含めた農林業用施設の重要性を痛感した。
そこで、今回の災害を経験した上で、今後の山間部の災害に強い農林業用施設の整備に関して、以下質問する。
(1)今回の農林道や治山施設等の被害状況について伺う。
(2)市内における治山施設の整備状況について伺う。
(3)今後、山間部における農林道及び治山施設の点検や整備にどのように取り組んでいくか伺う。
(4)災害時に農林道を迂回路として早期に使用するために、今後どのような対応をしていくか伺う。
(5)森林環境譲与税を活用して災害に強い森林整備にどのように取り組んでいくか伺う。 |
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1.スポーツ振興の取組と島田球場の今後について
スポーツは、私たちに健康や感動など多くのことをもたらしてくれる。昨年の東京オリンピック・パラリンピックでの当市出身の選手の活躍は、市民に大きな感動を与えてくれた。
当市は、昔から野球をはじめスポーツの盛んなまちとして、子供から大人までスポーツに親しんできた。大井川河川敷は、野球、サッカー、陸上競技及びグランドゴルフなどの練習や試合に広く利用されている。ローズアリーナは広く市民に利用され、河川敷のマラソンコースは、市民の練習や憩いの場として親しまれるとともに、箱根駅伝出場チームや有名な実業団が合宿する場所として活用されている。しまだ大井川マラソンinリバティも早いもので、今年で第14回を迎え、市を代表するイベントになっている。野球も、歴史ある島田球場を背景に昔も今も市民に親しまれている。
一方で、少子化で中学校の生徒数が減少する中、運動部の部活動のチーム編成が難しく、合同チームとして大会に参加する学校が増えている。また、教職員の働き方改革の中、部活動指導の業務軽減として外部指導への移行が話題になってる。
そこで、以下の項目について質問する。
(1) 現在、改定を行っている島田市スポーツ振興計画の進捗状況はどのようになっているか伺う。また、現在の目標、市民ひとり1スポーツを見直す予定があるか伺う。
(2) しまだ大井川マラソン大会inリバティは、経済的効果を含め当市にどのような効果を与えているか伺う。
(3) スポーツ合宿事業の今までの実績とその効果をどのように捉えているか伺う。
(4) ローズアリーナの利用状況と今後の在り方について伺う。
(5) 今年6月にスポーツ庁から提言された中学校の運動部活動の地域移行について、どのように捉えているか。また、実施に当たっての課題は何か伺う。
(6) 高齢化が進む中、高齢者スポーツの振興は重要と考える。市として健康増進も含めどのように取り組んでいるか伺う。
(7) 島田球場の利用状況及び整備状況並びに今後の在り方について伺う。
2.再生可能エネルギーの取組について
この夏、電力需要の逼迫や、ロシアのウクライナ侵攻に伴う火力発電用原料の価格高騰が大きな話題となる中、再生可能エネルギーの電源構成比向上は我が国にとって避けて通ることができない重要な課題である。国では、2030年度までに再生可能エネルギーの比率を現在の18%から36%に引き上げるとしている。当市は、大井川という水資源に恵まれるとともに、年間の日照時間が長く、また、冬季の風が強い地域でもある。この自然環境は自然エネルギーの活用にとっては好条件と思われる。
市には大井川の水を利用した中小の水力発電施設が以前から設置され、最近では大井川用水を利用した小水力発電所が設置されている。また、太陽光発電については、以前から公共施設や一般家庭などにも広く普及している。さらに、風力発電については、民間事業者が市内で大規模施設の整備計画を進めている。
このような中、当市では昨年3月に2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにするゼロカーボンシティ宣言を表明しており、策定中の第3次島田市環境基本計画において、その実現に向けての取組が期待される。自然環境に恵まれた当市は、多様な再生可能エネルギーを活用するまちとしてアピールこともできるのではないかと考え、以下質問する。
(1) 現在、市の再生可能エネルギー自給率はどの程度と推計されるか。また、今後の目標をどこに定めているか伺う。このほか、策定中の第3次島田市環境基本計画において、どのように位置付けていくか併せて伺う。
(2) 大井川用水等を活用したミニあるいはマイクロ水力発電の可能性について、どのように考えているか伺う。
(3) 太陽光発電の現在の普及状況及び今後の普及の見通しについて伺う。
(4) 市の公共施設を利用した再生可能エネルギーの供給はどのようになっているか。また、今後、どのように推進していくか伺う。
(5) 当市、掛川市、森町にまたがる八高山周辺で計画されている大規模風力発電所の整備について、現在、どのような状況か伺う。 |
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1.地域包括ケアシステムの取組状況について
我が国では少子高齢化が急速に進む中、団塊の世代が75歳を迎える令和7年には高齢化率が全国で30.0%に達することが知られている。本市の高齢化率も、令和4年は31.1%、令和7年には32.3%になることが推計されている。特に北部地域が37.0%、川根地域では45.8%と住民の多くが高齢者になることが予想され、これからの市行政にとってより重要な課題になると思われる。
このように高齢者が増加する中、介護給付費等の増大、介護の担い手不足、元気な高齢者の増加などを背景に、地域における医療と介護の連携強化と住民同士の支え合いの仕組みづくりが必要とされてきた。平成26年には、医療介護総合確保推進法が制定され、介護保険事業として医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が市町村に求められ、充実が図られてきた。本市でも、昨年3月に第9次島田市高齢者保健福祉計画が策定され、地域包括ケアシステムのさらなる推進が行われている。
そこで、本市における地域包括ケアシステムの取組状況、現在の課題及び今後の対応について、以下質問する。
(1) 昨年3月に第9次島田市高齢者保健福祉計画が策定されているが、本計画の基本方針が何か伺う。
(2) 地域に設置されている地域包括支援センターの取組状況及び具体的な成果を伺う。
(3) 在宅医療の現状と課題について伺う。
(4) 居場所づくりの現状と今後の推進について伺う。
(5) 地域包括ケアシステムの課題は何か、解決のためどのような取組を行っていくか伺う。
(6) 同計画において、「地域包括ケアシステムで培った「自助、互助、共助、公助」の考え方を、障害者や子どもの福祉まで幅広げ地域力の向上を目指す」としているが、具体的にはどのように取り組んでいくか伺う。
2.動物愛護施策と災害時のペット同行避難について
犬や猫等の愛玩動物(ペット)は、今や広く一般家庭に飼育され家族の一員として生活している。ペットは生活に潤いを与えてくれる一方で、動物虐待や多頭飼育崩壊などペットに関する悲惨な事件も減らない。今年6月には、改正法「動物愛護法」の一部施行として動物への虐待の厳罰化、マイクロチップが一部義務化されるなど、法令においてもペットの適正飼育や愛護思想の醸成などが強化されてきている。最近では、ペットを遺棄したり放置したりするケースは少なくなってきているが、いまだ野良猫の問題は地域社会にとって大きな問題になっている。
ペットに対する愛護精神が醸成されている中、 ペットは家族の一員として最終的には家族の中で生涯を終えることになる。島田市斎場では年間約800頭のペットが火葬されるなど、生前だけでなく、死後も家族と同様な手厚い供養が行われている。このような中で、ペットの慰霊祭の実施を望む声もみられる。
また、大規模地震や降雨災害の発生が懸念される中、家族の一員であるペットの避難対策も災害対策のうちの重要な課題と考えられる。これは、単に動物の命を守るだけでなく、飼い主の命を守ることにもつながると言われている。国、県では、在宅避難が困難で避難所に避難する場合、ペットとの同行避難を原則としている。しかしながら、市防災計画等ではペットの避難体制について明記されているものの、各地区の避難所での受入れ体制の確保がされていないのではと懸念される。
そこで、市のペットに対する施策の取組状況及び災害時のペットの同行避難体制整備状況について、以下質問する。
(1) 市におけるペットの適正管理や愛護等に関する施策の取組状況について伺う。
(2) ペットの合同慰霊祭の開催の可能性について伺う。
(3) 災害時のペット同行避難について、市防災対応としてどのように考えているか。また、各避難所における対応はどのようになっているか伺う。
(4) 防災訓練において、ペットの同行避難訓練を実施した実績はあるか。今後、どのように訓練に取り入れていく考えか伺う。 |
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1.これからの当市の産業振興と地域活性化への取組について
新型コロナウイルス感染症の世界的流行は既に2年にも及び、社会的、経済的に大きな影響を与えている。度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令により、観光産業や飲食業には危機的な状況を引き起こしている。特に、今回の第6波では多くの感染者を出しており、一日も早い収束を願うところである。今後は、痛手を受けた経済や地域活動の一刻も早い立て直しが求められ、アフターコロナとして、産業振興や地域活性化が重要な課題になってくるとものと思われる。
今後の当市の将来像を示す第2次島田市総合計画後期基本計画(案)では、各種施策を実現するための3大戦略として、循環型社会、縮充及びDXの3つの指針が示されている。新型コロナウイルス感染症の収束に向けて、さらに収束後の当市の産業振興及び地域活性化についてどのように取り組んでいくか、質問する。
(1) 新型コロナウイルス感染症が当市の経済や地域活動に与えた影響について
① 税収はどのようになっているか。
② 雇用状況はどのようになっているか。
③ 飲食業界や商店街の状況はどのようになっているか。
④ 市民生活や地域活動において、流行前後で大きく変化したと考えられることは何か。また、今後どのような影響をもたらすと考えるか。
(2) 農林業は、かつて重要な産業であったが、現在では茶業及び林業の生産額の大きな低下と従事者数の減少が顕著になっている。特に市域の多くを占める中山間地域では就労場所としても、茶業と林業は重要な産業である。今後の農林業振興の取組について伺う。
① 人・農地プランの進捗状況と、その結果に基づく農業振興をどのように進めていくか。
② 国が策定した「みどりの食料システム戦略」をどのように捉えているか。特に有機農業の取組をどのように考えているか。
③ 森林整備や林業振興のため、森林環境譲与税をどのように活用していくか。
(3) 観光は、飲食業と同じく新型コロナウイルス感染症流行の影響を大きく受けた業種であるが、収束後には再び重要な産業として脚光を浴びることが予想される。このことから、蓬莱橋や川越し街道を含めた観光産業の振興について伺う。
① 観光協会を一般法人化し、その後、DMO(観光地域づくり法人)の形成を目指すとしている。DMOとはどのような組織で、観光協会との違いは何か。また、DMOの登録団体に移行することについて、メリットとデメリットは何か。
② 川越し街道の観光資源としての整備の進捗状況はどうか。
③ 稼ぐ観光を目指しているが、具体的にはどのようなことを目指していくか。また、観光で経済を活性化していくためには何が必要でどのようなことが求められるか。
(4) 中心市街地の活性化とリノベーションによるまちづくりについて、コロナ禍により商店街の空き店舗が急速に増加している。市では、従来の区画整理事業によらない中心市街地の活性化に取り組んでおり、現在の状況と今後の見通しについて伺う。
① リノベーションまちづくりの実績はどのようになっているか。
② 今後の計画と見通しをどのように判断しているか。
③ 当該事業に対しての地元や地域の反響はどうか。
(5) 第2次島田市総合計画後期基本計画(案)における各種施策を実現するための3大戦略として掲げている循環型社会、縮充及びDXの3つの指針について
① 縮充の考え方について理解できるが、アフターコロナにあっては、緊縮財政ではなく、積極財政も必要ではないかと考えるがどうか。
② 循環型社会への取組は、カーボンニュートラルやSDGs社会を目指す中では重要と考える。当市は、大井川の水に恵まれたまちであり、電力会社以外にも水力発電施設が稼働しているが、小水力発電等の導入の取組はどうか。
③ DXの取組は大変重要であると考える。電子申請や電子決裁の市行政におけるデジタル化の導入の進捗状況及び地域産業の活性化に対しての取組状況はどうか。 |
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- 令和3年11月定例会
- 12月2日
- 本会議 一般質問
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1.縮充の考え方と今後の市政方針について
市長は、第2次島田市総合計画の巻頭において、「今後の人口減少、それに起因する緩やかな下降線を予感させる社会経済情勢にあって、真に必要な施策・事業を選択し、資源を集中させ、市民の幸福度を上げていく、「量」から「質」への転換、すなわち「縮充」」という考え方をこれからの市政運営の方向性として打ち出している。
低成長あるいは成長しない時代において、資源や財源に限界があり、確かに選択と重点化は必要と考える。ただ、重点化は仕方がないが、選択には多くの課題があると考える。選択においては当然選ばれない人達が表れ、切り捨てにもつながりかねないことを懸念する。選択の基準をどうするのか、公平で皆が納得する基準を示すことは難しいと考える。
現在、進められている島田市都市計画マスタープランや島田市立地適正化計画において、医療・福祉・子育て支援などの都市機能の誘導や一定エリアへの居住誘導を図るコンパクト・プラス・ネットワークの都市づくりの方針と施策が示されている。快適に暮らし、公共の支援を受けるには、居住誘導区域内に住むことが選択される条件になってしまう懸念がある。
国は、新型コロナウイルス感染症によりダメージを受けた経済の回復のため、積極財政と脱新自由主義の転換を目指すことを表明している。厳しい社会・経済情勢だからこそ、将来に向けて夢のある施策も必要ではないかと考える。そこで、以下の点について、市長の方針及び考えを質問する。
(1) 市長が考える選択とはどのような基準によるものか。この基準の方針を伺う。また、市長が掲げる真に必要な施策・事業とは、どのような内容を指すか併せて伺う。
(2) 選択にはどうしても選ばれる者と、選ばれない者が出てくると考える。選ばれない者に対して、ケアが必要ではないかと考えるが、市長の考えを伺う。
(3) 現在、策定中の島田市立地適正化計画案において居住誘導地域が設定され、その区域外では、今後、公共的施設等の整備を行わないと聞いている。これもひとつの選択と重点化と考えてよいか伺う。
(4) 縮充の提唱者は、人口や税収が縮小する中、縮充には住民の行政参加が大切と述べている。縮充にとっての住民参加について、市長の考えを伺う。
2.ユニバーサル農業の振興について
近年、人口減少や高齢化が進む中で農業分野と福祉分野が連携した農福連携農業(ユニバーサル農業)が注目されている。このユニバーサル農業は、障害者や高齢者を含む全ての多様な人々が従事できる農業と定義されている。SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」を目指すものでもある。
これからの資源循環型を目指す社会における農業は、生産物そのものの価値よりも、その生産物をいかに生産したかが重要になってくるものと考える。その中でも、障害者雇用による農産物栽培は、今後、ますます期待が高まってくるものと考えられる。
農業は、障害者や高齢者が働く職場として大変すばらしい場所である。農業の障害者雇用は、以前からも収穫時等に一時的に活用されることはあったが、農業者と福祉関係者との連携する機会は限定されたものであった。また、ユニバーサル農業は、障害者や高齢者の社会参画を進め、その効用を農業経営の改善や担い手の育成に生かす取組でもある。
一方、障害者雇用は、障害者雇用率制度において雇用率2%以上が雇用主に義務付けられているが、多くの企業において達成が難しくなっており、特例子会社と連携し調整されている。浜松市は、以前からユニバーサル農業の振興に取り組んでおり、水耕栽培の作業に障害者雇用を取り入れている京丸園株式会社や株式会社ひなりは全国的にも注目されている。当市は、みかんやレタス栽培等が盛んであり、十分に障害者雇用ができる環境にあると考えられる。そこで、今後の市におけるユニバーサル農業の取組について、以下質問する。
(1) 当市の農業における、障害者の雇用状況について伺う。
(2) 当市の農業振興施策における、ユニバーサル農業への現在の取組状況について伺う。
(3) 今後、ユニバーサル農業について、市としてどのように取り組む考えがあるか伺う。 |
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1.土砂災害対策等に対する取組について
本年7月3日に熱海市で多くの犠牲者を出す痛ましい土砂災害が起こった。今回の土石流の発生原因として、不適切に行われた盛土が疑われている。近年、毎年のように全国各地で降雨水害が発生し、大きな被害が出ており、平成30年の西日本豪雨災害や令和2年の熊本豪雨災害で、大きな被害が出たことはまだ記憶に新しいところである。また、本年5月には、災害対策基本法が改正され、市が発令する避難情報の区分も変更になった。
本市は、土地の70%以上が山地であり、多くの中小河川が流れ、さらに市の中央を一級河川の大井川が貫いて流れている。このような自然環境にある中、本市の危機管理対策として、大規模地震と同様に大雨による土砂災害等の対策は大きな課題であると考える。そこで、市が取り組む土砂災害対策などに関する次の項目について、以下質問する。
(1) 熱海市の土石流災害に関連して、市内で土石流及び盛土に係る災害の発生の可能性がある箇所を把握しているか伺う。
(2) 市内において、土石流災害等の対策事業を実施した数について伺う。また、今後整備が必要な数について併せて伺う。
(3) 既に土砂災害等の対策事業が実施済みの箇所について、点検や管理状況を伺う。
(4) 市内の中小河川の災害対策として、護岸の安全対策や河床のしゅんせつについて、どのように取り組んでいるか伺う。
(5) 市における土砂災害を含めた水害対策の取組状況及び現在の課題について伺う。 |
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1.北部の小学校の再編と学校跡地利活用について
北部地域の伊久美小学校、神座小学校、相賀小学校及び伊太小学校は、いずれも100年以上の歴史があり、地域の中心として、長年、地域住民に愛されてきた。しかしながら、近年の少子化の中、生徒数が激減し、令和元年度に策定された島田市立小中学校再編計画において、令和6年4月、北部4つの小学校が島田第一小学校に統廃合することが決定した。併せて学校施設跡地利活用検討委員会が設置され、統廃合後の学校跡地利活用の検討が進められている。そこで、以下質問する。
(1) 令和6年4月の再編整備に向けた準備がどこまで進められているか。現時点でどのようなことが課題となっているか伺う。
(2) 伊久美小学校は特認校に指定されているが、この特認校の取り扱いをどのようにする考えか伺う。
(3) 廃校の跡地利用については、各自治会等の住民を交えた検討が重要と考える。現在の進捗がどのようになっているか伺う。
2.マイクロツーリズム型観光の振興について
現在のコロナ禍において、観光産業は大きな影響を受けている。しかしながら、このコロナ禍が収束した後には、再び観光産業は、地域活性化の牽引になると考える。このコロナ禍において、身近な観光地を日帰りや一泊程度で楽しむマイクロツーリズムが提唱されている。自分たちの暮らしている身近に素晴らしい観光資源があることを再発見することで、観光産業の振興のみならず、地域の活性化にもつながっていくものと考える。当市は、大井川の自然に恵まれ、永い歴史の中での名所や旧跡がある。マイクロツーリズムは、コロナ収束後の市の活性化において重要なキーワードになると考える。そこで、マイクロツーリズムへの取組について、以下質問する。
(1) 当市の観光振興において、マイクロツーリズムをどのように捉えているか。
(2) マイクロツーリズムとしての観光振興について、具体的な事例あるいは今後計画されている事例などについて伺う。 |
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